小説「三千円の使い方」概要
就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金30万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金600万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金100万弱)。そして1000万を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越える為、お金をどう貯めて、どう使うのか?
というようなあらすじです
内容は三千円の使い方が何か書いてあるわけではないのですが、現代日本を生きる私たちが正に直面する問題やそれぞれの登場人物がその問題にどのように向き合っていくかが書かれています
物語としてもとても面白いのですが、それぞれの貯金額だったら自分がどう考えるかということを考えさせられました
多少のネタバレありですが、自分の感想を綴っていきたいと思います
三千円の使いかた (中公文庫 は74-1) [ 原田 ひ香 ] 価格:770円 |
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感想
主観が各章変わっていき、それぞれのお金の使い方やお金に関する悩みなどが展開して行きます
自分が印象に残ったのは、祖母の琴子さんと長女の真帆さんです
この物語の中で一千万円貯めた祖母の琴子さんですが、決して成功者のように描かれているわけではありません
この一千万円を少しでも金利の高い銀行に預入を行うことで増やすというよりは減らないように行動しています
正に今私たちがやっていることと一緒ですよね
ちなみに現実の銀行の金利は小説にならないほど低いですが、それでも少しでも金利が高い楽天銀行に今自分などは預けています
※楽天銀行も金利引き下げの発表がなされたので自分はある程度まとまった金額は他の金利が高い銀行に預けようと検討しています
老後に貯金一千万なんて何の不安もないのでは?と思いますが、老後で年金も貰っているとはいえ十分な額年金が貰えるわけでもなく、バリバリ働ける年齢でもないとなるとやはり貯金一千万でも不安になるのでしょう
琴子さんも最終的には働きに出るという選択をしますが、これからの将来、定年年齢が高くなるであろうとしても私たちも稼ぐ力というものを真剣に考え備えなくてはならないのでしょう
そして、元証券会社勤務だった真帆さんは、例えばA8ネットなどにあるセルフバック機能を使ったりして、少額なりとも資産を増やそうとしています
これも正に今自分が取り組んでいることの一環ですね
さらにつみたてNISAやiDecoなどまず私たちが最初に取り組むべきことを忠実に行なっている人物です
また、この物語で唯一男の登場人物の主観で書かれている章がありますが、同じ男としてあまりにも情けないぐらいの金銭感覚の持ち主です
安生くんという人物ですが、どこでもそれなりに働け、コミュニケーション能力も高いのでバイト生活でも全く問題なく暮らしています…しかもしっかりした彼女さんまでいらっしゃる
何事も卒なくこなせない自分としてはやはり安生くんとは別の生き方を選ぶしかありません
この人物だけは反面教師として捉えなくてはなりません
内容としてはそんなに三千円の使い方についてどうこうというような内容ではなく、それぞれの登場人物のお金の使い方、考え方などの物語になっています
おそらく浪費型の人も倹約家の人もお金に対する考え方や使い方が自分と似ている登場人物がいて、親近感が持てる内容になっているのではないでしょうか
登場人物全員将来のお金に対する不安を抱えています
特におばあちゃんと長女のお金に対する行動はこれから資産形成などお金の勉強を行なっていく私たちが見習わなければならないと思います
この本は正に現代日本を生きる私たちが考え行動していかなければならないことが書かれているなと思いました
見習うべき登場人物と反面教師にするべき人物(お金と異性関係に対して)がいますが、それぞれの性格がそれぞれのお金の使い方に反映されています
登場人物の共感に満ちた物語となっておりおすすめです!
価格:770円 |